Entry No.59
Yoshida
1967 YAMAHA 350 Scrambler

昨年は飛び入り参加でしたが、今年は正式にエントリーさせて頂きました、少し遅すぎの感は否めませんが宜しくお願いいたします。
殆どの参加者がモトGPで参戦している中で一般市販車、しかも1967年製の輸出仕様のYAMAHA 350 スクランブラーで参 戦するには少し戸惑いました。
今回はジャンルを問わないとのことらしいので大目に見てやってください。
使用キットは軽く30年以上前に売られていたRevell製1/8で、バイクキットとしてはご先祖様とも言える代物です。
昔からのストックなので箱は破れたり潰れたり、何度かの引越しのため部品も数点無くなってしまったり・・・。
経年変化でプラスチックのしなりが無くすぐに折れてしまうしひびは入っているし・・・、メッキは剥げてるし・・・。
そんなキットですが、当時のバイクモデルを盛んにリリースしていたRevellに敬意を表す意味で、出来る限りキット部品を使い、止むを得ない部分のみ作り変えるというやり方で当時のキットの雰囲気を感じてみたいと思います。

型式 YAMAHA 350 YR2

1960年代中期、排気量の枠を越えてセミアップマフラーを備えたバイクが大流行でした。
街中で良く見かけられるスタイルで、当時18〜9歳の私には懐かしくて仕方がありません。
しかしバイクキットの世界ではなかなかお目に掛かれないもので、オフロード車以外のバイクではこのキットが唯一と思います。

さて、改めて部品の状態を見ていくと真っ先にメッキを掛けられたエンジン部品が目に入ってきます。
メッキの輝きはとっくに失せモールドは甘く、シリンダーから上は高さが無くフィンの枚数も大幅に少ないのに気が付きます。
迫力の有る空冷2サイクルツインのシリンダーはスクラッチしなければならなくなりました。

シリンダーはプラ板で

キットのシリンダーやクランクケースなどの寸法と、乏しい資料写真から縦横比を計算してフィンの大きさを決め、実車のフィンの枚数と積層するプラ板の厚みなどを総合的に計算しながら、コンマ数ミリの余裕も残してからの切り出しを行いました。
正確さは多少アバウトで、組み付けながらヤスリ掛け修正しながら形を決めていくといった方法です、何しろ初めてに近い作り方なので段取りを考えるだけでお腹が一杯になてしまいます。
切り出したプラ板には貫通するボルトを通 すための同サイズの穴を開けて、それぞれの形状を出しながら仮組みし、修正を繰り返していきます。
地獄の仮組み作業

フィンの大きさは一様ではないため、順番は正確にしなければなりません。
また、吸排気ポートの位置や共振止めのパイプを通す穴も然り。
幾度も仮組みを繰り返すにはデリケートな厚みのフィンを壊さないように大変気を使います。
ヘッドフィンもプラ板で

シリンダー作りに目途をが付けば、次はヘッドフィン作りになります。
シリンダーの時と同じ様に寸法を計算してプラ板の厚みを設定、スタッドボルトやプラグ取り付けスペースの切りかけを設けて切り出します。
ここでも計算より少し大きめに切り出します。
切り出した板を順番を間違わぬ ように数枚貼ったところで微修正、その後一枚貼る度に修正を加えながら貼っていきます。
ヘッドフィンが暫定的に出来上がってシリンダーと合体させ、クランクケースに接着しました。
この時点でも多少の微修正を加え、フレームに仮搭載して様子を見ることになります。
何しろ此処まで来ないと、本当に大きさが正しいのか本人も分からないアバウトな作りなのが情けないです。

金属感の有る塗装

ヘッドフィンが暫定的に出来上がってシリンダーと合体させ、クランクケースに接着しました。
この時点でも多少の微修正を加え、フレームに仮搭載して様子を見ることになります。
何しろ此処まで来ないと、本当に大きさが正しいのか本人も分からないアバウトな作りなのが情けないです。

ホイール作り

キットのスポークモールドはリム側が等間隔になっていないので穴位 置は信用できません。
まあ良くあるケースなので、最初からパターンや穴位置を紙に出しておいて、リムとドラムを整形してから穴あけをするようにしています。

穴あけを終えたリムとドラムを部品として完成させるために塗装にまわし、乾燥時間の合間にスポーク部品を作ります。
材料は1/8ということで0.5mmステン・バネ線とビニールチューブを使います、これで一輪分です。

塗装が終わり十分乾燥期間を置いてからあらかじめ作っておいた冶具にはめてスポークを張れば出来上がり。

ちなみに右は1/12 SR のホイール。

チェーンの改造

プロターキットのチェンが余っているので、ここで利用しようと思います。
プロターは1/9ですがチェーンは馬鹿でかく1/6でも通用するのでは?と思わせるくらいの大きさですから1/8にも多分合うだろうと思ったので引っ張りだしました。

キット部品のチェーンモールドはすっかり削ってかみ合う部分に少しだけ歯の根元を彫っておきます。
可動は考えていないので全て接着剤で固定します。 仮組みするとこんな感じ。
こまの数と軸間距離の都合で少し弛みを付けて完成です。
スプロケットにロックプレートとボルトの頭を追加補います。
リヤショック
1/8とはいえ、現在の感覚ではただ大きいだけのチープキット。
リヤショックは左右貼り合わせの部品、おまけにマフラーフランジまでモールドしてある親切さ…。
ご好意に甘えてこのまま使わせて…とは、どうしてもいきませんでした。
早速作り変えることにして、使う材料はランナーとプラ板。 先ず下側から。
太さの違うランナーで・・・。
下部は良し。
アッパーも同じ様に、ひたすら削って。
左右のショックが平行になる様に上部取り付け部を修正。  後はスプリングを作るだけ。

タンクの塗装

ラグビーボールの様なガソリンタンクは左右貼り合わせになっています。
塗装するには余計な溝を埋めなくてはなりませんし、一見滑らかに見えても実はでこぼこが酷く溝を境に段差が付いていて、ただ溝を埋めるだけでは段差はなくなりません。

溝は光硬化パテで埋め全体にヤスリを掛けて滑らかにしました。
ニーグリップラバーも一体成型なので塗り分けしやすくするために横方向から筋彫りをして浮き立たせて準備しました。
キャンディーオレンジに塗るため同色に塗る部品にホワイト塗装を施し、下地を作ります。
タンクだけは細い子持ちラインを持つツートーンに塗るため、先ず真ん中部分をマスキングしてからレッドを塗ります。
その上にクリアー塗料にパールの粉を混ぜた物を吹いて・・・。
クリアーオレンジに少量のクリアーレッドを混ぜ、クリアーで希釈した物で色の濃さの具合を見ながら吹いていきます。
同色に塗る部品も同時進行で、各部品に濃度のばらつきが出来ない様にします。
塗装が生乾きのうちにマスキングを剥がし、ザッと境目を整えます。
子持ちラインは極細筆で書き込みます。
片面はそれなりに出来ましたが、問題は反対側に全く同じ太さ、間隔で書き込まなければならない事、これが一番厳しい!!。
指に力が入りすぎて暫く手が言うことを聞きません。 YAMAHAのロゴマークとメーター文字板、ナンバーくらいしかマークは有りませんから、どうしても色分けは塗装しかなかったわけです。
デカールはひびだらけなのでデカールフィルムをあらかじめ塗っておいたのが功を奏し、バラバラ事件にならずにすみました。
最後に薄くクリアーを全体に掛け、テカリを押さえた磨きを掛けニーグリップラバーを筆塗りでがさ付かせて完成です。

シート作り

1/8と言ってもキット部品はこんな物、チープな造型は今ではあまりお目に掛かれない物ですが当時としては最新技術。
何から何まで一体成型なので、全部バラバラにするつもりで直します。

アシストベルトとシートモールは削り落とし、シート表面 の細かい模様も少しだけ落としておとなしくします。
シートモールドは金属線を貼るため、幅1mm、深さ0.5mmの溝を彫りました。
彫った溝には太さ1mmのアルミパイプを形にぴったり合わせて曲げてはめこみます。
パチンと隙間無くはまりました。
次にアシストベルトは0.5mmプラ板で曲げ癖を付けてミシン目を彫り、表情を付けておきます。

シートの塗装

やれた表情を付けようと、最初につや消しブラックを吹いて・・・。

コンパウンドワックスで軽〜く拭く程度に磨けば、擦れてテカった部分とそうでない部分のコントラストが付いてそれらしくなりました。
最後にモールとベルトを瞬間接着剤で付けて完成です。

マフラー作り

キットのマフラーを仮組みしたところ、クランクケース右側に配線できないのと、印象がボッタリした感じを引き締め、もっとスポーティーにしたいとの理由で僕のイメージでカスタムマフラーに改造しようと思います。

配線できない理由はエキパイのカーブ、大きなカーブでクランクケースよりも幅広になってしまいます。

太さ5mmも有るのでどうやって再現するか・・・、材料は同じ系のプラパイプを輪切りにしてつないで作ることにしました。

ヤスッて角度を調整しながら現物合わせと見本を参考にだんだん伸びていきます。
系の違うプラパイプとアルミパイプを組み合わせ、パテで整形。
形が決まったので塗装の下地作りです。
実車のイメージを残すために、溶接跡や焼け色の無いオールメッキとします。
マフラーの遮熱板を作ります。 0.5mm洋白線と0.3mm真鍮板を使ってハンダ付け。  
左右対称に作るのが難しい・・・。
マフラーをアルクラッドUでメッキ塗装、プロテクターを取り付けて完成です。 このあと少し汚します。

小物を少し。

小物を仕上げて完成に向かいます。 キット部品のブレーキパネルとアーム、部品はこれだけしか有りません。

メーターケーブル取り出し口とブレーキワイヤーのアジャスト部を整形して本来の形に直し、アームはロッドを切り捨てジョイントをアルミ板で作り変え金属ロッドとビニールパイプでそれらしく作りました。
ブレーキペダルはキットではフレームから直接右に生えているような形なので正規な形に直すべくプラ丸棒を炙って曲げながら現物合わせで作りました、踏み板部分のみキットの部品を流用。
キックアームは巨大なキット部品に変えて大きさを合わせて自作しました。
ちなみに、キット部品(右)との比較です。

ゴールインしました。

ライトハウジングにメインキーを付けて、ナンバープレートを付けて、その他いろいろ汚して拭いて…、写 真が下手クソです。


Close