No.12 くろすぴー
1986 Suzuka 8h Yoshimura GSX-R750
( S.辻本+K.シュワンツ)

フフジミのニューキットレビューを兼ねて、出来る限りディティールアップをする予定。
資料だけはてんこ盛りあるので、実車の画像を交えながら製作記をアップしていきます。
フジミ初の本格的バイクキットということもあり、タミヤキットのように、誰でもが組みやすいとはいえません。
ただ、全体のフォルムやバランスは問題ないので、作りがいのあるキットになっていると思います。
テストショット段階で、かなりの箇所を修正してもらったのですが、全て修正できたわけではありません。
一番問題なのは、エンジンを挟み込んでフレームを組むようになっていることです。

エンジンを後載せできるようにエンジンハンガーを加工していきます。
後部エンジンハンガーが実車とは違う解釈でフレームについているので、まずはここを切り取ります。 さらにこのエンジンハンガーを、パーツNo.H18とI12に位置合わせをして接着します。 先に上記H18とI12には0.5mmプラバンを貼り付けて嵩上げしておきます。
この状態にすれば、エンジンは後載せできるようになります。 ただし、エンジンヘッドカバーとオイルパンを先に付けてしまうと載らなくなるので注意してください。(特にかわぴーさん)
シートの取付基部があまりにもカッコ悪いので、実車に近い形状に修正します。
実車の基部
スイングアームも一部改修します。
側面から見ると、ピボット部が何故か湾曲しています。 本来は間違いなのですが、ここを直線に修正するとリヤサスやリンク廻りを全て修正しなくては辻褄が合わなくなりますので、見なかったことにします。
ピボットシャフトが通るトンネルが再現されていないので、プラパイプを挟み込みます。
フレームをパテで裏打ちした際の問題点。
この時に検討しなければならないのは、タンクの取付方法です。
キットでは、タンク前方下部に実車では存在しない出っ張りをフレームにはめ込むようになっています。
完成後はほとんど見えないので、キットのままでも問題はありませんが、フレーム裏をパテ埋めするとここが邪魔で取り付けられません。 そこで実車同様の取り付けに変更します。

タンクの加工。

まず、下部の出っ張りを削り取ります。 このままではタンクの押さえが無いので、フレームとベルトで留められるよう、新たに基部を作ります。 基部は2mm幅の洋白帯板を曲げてフレームとタンクに取り付けます。
給油口は、合わせ目を消すより、開口してしまったほうが楽です。 開口部は、給油リングの接着シロだけは残してください。
塗装後、給油リングの裏に黒く塗ったプラバンを貼り付ければOKです。

実車のフレーム
実車のタンク
デュプレックスチャンバーの裏もパテで埋めてください。
パーツとしては裏側ですが、エキパイに付けるとモロに見えてしまいます。
マフラースプリングのフックを16箇所付けます。 他にあまっていたエッチングを取り付けましたが、ここは出来るだけ新しい瞬間接着剤で付けてください。 古いものは接着力が弱く、スプリングのテンションで取れてしまう可能性があります。
リヤフェンダーの加工

リヤフェンダー両側面に窪みがありますが、キットでは再現されていません。 リューターと平ノミで掘り込みました。 ただ、あまり目立つ箇所ではないので、パスしても問題ないとは思いますが。
オイルクーラーの加工

キットのオイルクーラー、かなりアッサリしたモールドで、コアが再現されていません。
表面のモールドを平らに削り取り、ジャンクパーツのエッチングを切り出して貼り付けました。
横のモールドは0.25mm洋白線。 また、オイルクーラーステーも再現されていないので、0.5mmプラバンで作ります。 フレーム側面の六つの穴モールドは間違いなので、パテで埋めておきます。(これはステーの穴です) これらのパーツは、専用のエッチングパーツが欲しいですね。

オイルのクイックチャージャー

ヨシムラの展示車には付いてなかったため、キットではパーツ化されていません。 8耐本番では、スズキフランス車と同様なものが付いていますので、’RACERS誌’を参考にプラパイプとプラ棒で製作します。

カウルステーを変更します。
やはりここもフジミの解釈がまったく違うので、真鍮パイプをハンダ付けして作り直しました。 ただ、完成後(カウルを装着した状態)ではほとんど見えないので、必要ない工作かもしれません。 このステーをいじると、カウルサイドのステー位置にも影響してきますので、注意が必要です。
実車のステー周辺
フロントスタンドフック プラ棒をリューターにかませ、平ノミをあてて削り出しました。 簡単なので、オススメのディティールアップです。
実車のスタンドフック

フレームの塗装

フレーム&スイングアームは、クレオスのメッキシルバー。 さらにエナメルのフラットブラックでウォッシングしてあります。 必ず下地はグロスブラック→クリヤーでツルツルの状態にしてください。
フレームの補強板は、ハセガワのミラーフィニッシュを貼っています。 これを貼る場合、メッキシルバーの上からではうまく付きません。 貼る部分の塗装を400番のペーパーで削り落としてください。

外装も塗装しました。 デカールを貼る前に全体にクリヤーをかけます。 この時点で、ガンメタとレッドのマスキング境界線の段差を消しておきます。

デカールを貼りました。
キットのデカール、白が透けるわけではありませんが、色の濃度が薄いです。 結局、白デカールは二重貼りしました。 糊が弱く、マークソフターにも弱いので、注意が必要です。

このようなデカールの場合、シルバリングが起きやすくなります。
塗装面をいかに平滑に仕上げるかで、デカールの密着度がまったく違います。

デュプレックスサイクロン

エキパイの手曲げ感がよく再現されています。 サイレンサーまで一体化してから塗装しています。
全体を、グロスブラック→メッキシルバー塗装後、ねこちゃん製焼け色デカールを貼ります。
サイレンサーをマスキングして、焼鉄色+クリヤーブラックを全体に吹いています。
チタン再現としては、なかなかイイ色だと思うのですが・・・

ブレーキホース

ブレーキホース用メッシュチューブ、最高のモノを見つけました! アメリカ製プロテックというメーカーの製品で、0.46mmから6サイズあり、芯には金属線が入っているため自由に癖が付けられます。 私が知る限り、模型用でこれ以上のモノは無いと思います!

早速、このメッシュチューブを使ってみました。 0.46mmを使用しています。 バンジョーやボルト類はT2M製を使い、細かくディティールアップしています。 フォークトップは、丸と六角プラ棒の組み合わせでそれらしく。 スパイラルチューブはクリヤーチューブから切り出しました。
フロントブレーキマスター周辺もT2M製。 このリアルさはとても自作できませんね。
スパイラルチューブの作り方 クリヤーチューブに金属線を挿し込みます。 カッターナイフを斜めにあて、チューブ本体を回転させるとスパイラル状にカットできます。 これは去年ねこちゃんから教わっていたのですが、作ったのは今回が初です。 思ったより簡単に出来るので、メッシュチューブと共に80〜90年代のマシンには重宝しそうです。
ちなみに、メッシュチューブをアップしてみました。 凄すぎます・・・

フジミ製エッチングパーツ

専用エッチングパーツが発売されたので、内容をチェックしてみます。 前後ディスクローター・チェーン&スプロケット・バッテリーケースなどが主な構成です。

前後ディスクは3枚、チェーンは4枚、スプロケットは2枚重ねになっています。 Fディスク、ハブ部はキットを使い、Rディスク&スプロケットは全てエッチングとなっています。 チェーン外側は真鍮製になっているので、塗装は不要です。
特に期待したのは、チェーン&スプロケットだったのですが・・・ キット同様の歯車で、ちょっとがっかりです。 しかもこのスプロケ、???な解釈で厚みを持たせるようになっています。 果たして使えるんでしょうか・・・
結局・・・ どうしてもエッチングのスプロケットの形状が気に入らないので、0.5mmプラバンから切り出しました。 キットの大きさに合わせると歯車が45Tに・・・ 当時、このマシンを製作した友人に確認したところ、はっきり覚えていないがたぶん41Tくらいだろうとのこと。 よって41Tで切り出しました。 キットより一回り小さくなったので、いい感じです。 チェーンは、3年連続でトップスタジオ製。 多少は慣れてきましたが、相変わらずツライ作業です。
やっと自立しました。 いつものことですが、チェーンを掛けるのは大変でした。 コマ数が決まっている訳ではないので、長さを決めるのに苦労します。 かなりテキトウですが、電装系の配線もしてみました。 配線があると、エンジンとフレーム間のスカスカ感が緩和されます。
リヤブレーキマスター周辺もT2Mパーツでディティールアップ。
車体廻りほぼ完成しました。 あと残すは、ステップ・ステアリングダンパーくらい。 メーター裏、ちょっとあっさりしていますが、電装系の配線をしています。
この年代のマシン、やたらとタイラップで留める箇所が多いですね。 黒いテープを細切りして再現しています。
以外だったのがメーターカバーのクリヤーパーツ。 はめるかどうか迷ったのですが、結構イイ感じになりました。 たぶん、1/12バイクキットでは初でしょうか? これくらいピッタリなら、大歓迎ですね。
タンク裏 断熱シートを分割して貼りました。 少し厚めなので、フレームに干渉するかと思いましたがなんとか大丈夫でした。
実車のタンク裏
チェンジリンク シフトロッドを1mmアルミパイプとT2Mパーツで作り直しました。

アッパーカウル

スクリーンはエンビ板でヒートプレス。 悩んだ末、ベンチレーションの穴も開けました。 開口するとどうしても"めくれ"が出てしまうので、これをどう処理するかが問題でした。
外側から目打ちをし、内側からピンバイスで開口しました。 こうすることにより、めくれが外側に出るので、比較的楽にめくれを処理できます。 クイックファスナーはホビーデザイン製。 エッチングと挽き物のビスの組み合わせで、非常に簡単でリアルに仕上がります。 ゼッケンサークルのみ、半艶クリアー仕上げです。

カウルのアッパーステー、基部のみ先にフレームに接着し、ステー部を切り離して実車同様の取付方法に変更。 また、先端を開口して割りピンを挿し込んであります。 ここまでで、ほぼ車体廻りは完成。 後残すは、外装とのフィッティングだけになりました。
完成しました! スクリーン越しに見えるように、タンクの取り付けは実車同様にバンド留めです。 なかなかイイ感じです。
シートカウルから出るブリーザーホースも割りピンで留めました。
今回の製作は、基本ディティールは変えずに、自分的に不満な箇所や不足しているパーツを中心に手を加えました。
タミヤ製と違い、誰でもが似たようなレベルで完成できるキットではありませんが、手を入れれば入れただけ見違えるようになるキットだと思います。 久々にプラモデル本来の楽しさを味わった気がします。 ただ、デカールの質だけはNGです。 せっかく素性が良いのですら、かなり印象を悪くしてしまうと思います。 デカールのサイズが違うのでは?という意見もあるようですが、サイズは正確です。 本物のステッカーから版下を起こしていますので、これに関しては間違いありません。
今まで、本格的なバイクキットはタミヤのみでしたが、フジミ・ハセガワの参入で市場が盛り上がるよになると嬉しいですね。

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