Entry No.92
ニシベさん
'83 LCR YAMAHA MK10  熊野/高島組

今年のモデラーGPは、新設されたサイドカークラス(!?)にエントリーです。
'80年代、多くの日本人選手が世界GPに参戦し、その活躍に若き日の私は胸躍らせていた訳です。
そんな日本人選手の1人が、サイドカークラスに参戦していた 熊野正人選手です。パッセンジャーは高島選手です。
前々から気になっていたマシンなのですが、いかんせん資料がが少なく、コレクションの1つに加えることはないと思っていたのですが、 ひょんなことで資料が手に入ってしまいました。 (K保さん、本当にありがとうございました。)
で、無謀にもほぼフルスクラッチする決心をした次第です。
完成するか!? いや、意地でも完成させたいと思ってます。
皆さん、ヨロシクお願いします。

ちなみに、LCRはルイ・クリスチャン・レーシングの頭文字で、モトGPのLCR・ホンダとは、関係はありません。 念の為。
えっ、知ってた!?
エンジンがTZ500なんでYAMAHAで、
MK10は、正人-熊野の頭文字です。 10は10号車と言う事らしいです。

で、形が無いとなんとなくイメージしにくいので、 ボール紙でシャシーを作ってみました。
直線の構成なので作れそうです。
タミヤのYZR500のエンジンを置いてみると、 うん、なんか形になりそうですね。

形と言えば、カウルも原型を作らねばなりません。
複雑なアンジュレーションはないかと思いますが、何といっても大きい。
全長30cm弱!! でも作らなくっちゃ。
まず、バルサの板にボール紙でリブを張って、その周りにボール紙で面を貼ります。
ボール紙ばっかりで、プラスチックモデルじゃぁないやんか!!

ほんでもって、表面にホワイトパテを塗りたくってみました。
更にこの上にポリパテを塗って、いつもの「削りぃの塗りぃの」作業に移ります。

「削りぃの塗りぃの」をかなり繰り返した所です。 最初のボール紙では、一回り小さく作ったつもりだったのですが、 削ってゆくと、ボール紙が出てくる出てくる!!
しょうが無いので、ほじくり出してポリパテを詰めて、また削りです。
カンで作っちゃダメですね・・・結局時間がかかっちゃったかも。
でも、まだなんか違う感じなので、もう少しあがいてみます。

いいかげんに、プラモちっくな投稿をします。 これは、シャシーの、何と言うのか、底板になります。 ちなみに、左が前で、右側の広い所はパッセンジャーの載る所になります。 その外周がポツポツしてると思いますが、根性でリベットを植えました!!

んでもって、そこのアップ(ピンが甘くてすみません) 植える所に穴を開け、そこへ延ばしランナーを刺し込み、 はんだゴテを近づけるとあら不思議!! 丸まってリベットが出来上がります。 これからこのリベットが、たっくさん出てきます!

次はシャシーの上側の面です。 同じ様に、外周にはリベットを植え込みます。 丸い穴の部分には、燃料タンクのフィラキャップが付きます。

上の写真にも写ってますが、リベットの単品写真です。 半田ゴテの当てにくい、狭い場所には、先に作っておいて、 穴を開けて差し込みます。

それで、これらを箱状に組み立てると、シャシーの基本形状が完成です。 真ん中辺の凹部には、ラジエータが収まります。 実は、組み立てた後に、パッセンジャースペースが長すぎる事に気が付き、 この状態から切断して切り詰めてるんです。 はぁ〜、最後には帳尻が合うんかいな??

エンジンを載せます。 エンジンはTZ500ですが、タミヤのYZRを使います。 500ccのGPエンジンを乗せるには華奢な構造ですが、 パイプフレームに載っているんです。 これでも、ブラ棒がちょっと太くて、 オーバースケールな位なんです。

続いて、チャンバーを作ります。 チャンバーはエンジンから車体前方へ伸びています。 アルミの針金を芯にして、パテパテ盛り盛りで作ります。

ほんでもって、おんなじ形が3本必要なので、複製します。 きれいに出来ました!

組み合わせると、こんな感じ。 いいじゃん、いいじゃん!! 一番左気筒のチャンバーは、まっすぐ伸びた3本の上に乗り上がる様になっているんで、 現物合わせで作ります。

チャンバー4本を組み合わせると、こんな感じ。 型を作ったから、複製できますよ。 御入り用の方がいらっしゃいましたら、ご連絡下さい。 なんて、欲しい人なんかいないよなぁ。
ちなみに、エンジンマウントは針金で差し込める様にしてあります。 なので、外せるんです。 それに、ある程度強度も確保したかったので。

フロントの足回り。 基本的に、ダブルウイッシュボーン構造です。 でも、自動車とはタイヤの付いている向きが違うけどね。 右側のいしっぽの付いてる方が下アームで、 左側のが上アームです。 十字の部品は、アームの先に付きます。 先端のピローボール(に見えますか!?)は、 丸棒から削り出してます。

あっちこっち作っちゃいますが、今度はタイヤです。 タイヤも課題の1つです。 実車で使っているのは、13インチの車用タイヤなんですが、 3本とも幅が違う!!のです。なので、作ることにします。 ポリパテの塊に心棒を付けて、旋盤(旋盤です、旋盤!)にくわえて、まぁるく削ります。 だけど、完成直前で、心棒が折れてしまいました。力入れすぎた・・・ なので、後は、目で見て丸に仕上げてます。 芯出しして軸をつけ直す技は、ボクにはありません・・・

タイヤが完成しました。 これを型にして複製し、2枚張り合わせるとタイヤが完成、するはずです。 3っつのタイヤは全て幅が違うので、貼り合わせる事で 寸法を調整するつもりです。

続いて、ホイールです。 タイヤと同じように、旋盤(!)でハブ部を削り出し、 その外周にスポーク状にプラ板を貼りつけてます。 このままだと飛行機の星型エンジンみたいですが・・・

ワッカをはめると、あら不思議、 なんとなくホイールに見えてきますよね。

組み合わせてみると、完成!! ホイールとタイヤが別体なので、ホイール取付位 置を 調整する事ができるんです。
実は、'83年時のホイールの資料が全くないので、 それらしくテキトーに作っちゃいました。 きっと、当時もいろんなデザインがあったと思うので、 これでもいいですよね。ね。

フロント周りなんですが、各フレーム等の基本的な取り付け位置関係は 寸法を割り出していますが、長さは現物合わせで決めてゆきます。 これは、ハンドルが付くフレームです。

前周りのアーム・ナックル等を組むとこんな感じです。 でも写真だとグチャグチャしてて何がなんだかわかりませんね。 完成品をお楽しみに!

タイヤを複製しました。 6っつありますが、2枚を張り合わせて1つのタイヤにします。 合わせ面を削れば、タイヤの幅が調整できるって訳です。 これで、型が1つで幅違いのタイヤ3本が作れます。

ホイルは同じものを3っつです。

さて、これは…??

ラジエータです。 平面ラジエータでよかった… ラジエータキャップは、ラジエータに付きません。

引き続き、小物特集。 タイヤが3っつなら、ブレーキキャリパーも3っつです。 ちょっと、大きすぎたかも…気が付かなかった事に…

ブレーキのマスターシリンダー。 リア用とサイド用の2個です。 フロント用は、2輪と同じでハンドルに付いてます。

しつこく、小物シリーズ。 エンジンの排気バルブ用のガバナーです。 市販TZの排気バルブはは、機械式のガバナーで開け閉めしていた様です。 結構な大きさで目立つものですから、作ることにしました。

タイヤの完成品を載せるのを忘れてました。 合わせ面に段差が出来たので、パテで修正してます。 って事は、やっぱり型がまん丸に出来てないってことね。

リヤ周りはこんな感じです。 虫ピンでの仮止め状態ですが。 このアーム類は強度が必要かと、真鍮パイプで作りました。 ショックはそれらしく、それらしくっと。

サイドのカウルは、バキュームで作りました。 左右両面から成型し、2枚を張り合わせようと思います。

1つの型から作った物なのに、合わせの段差を修正してるって、いったい… 横の面 も補強しようと裏にプラ板を貼ったら、表面が溶けちゃったし、なんだかなぁ。

この型の内側にティッシュペーパーを、プラ用接着剤で貼り重ねてゆきます。 ペタペタと。 FRPならぬ、PRS(ペーパー リインフォースド セッチャクザイ)です!!

貼り終わると、こんな感じ。

離型すると…
ボロボロでした…
石膏の部分は、紙同士の接着が出来ておらず、表面も石膏に貼り付いてしまい、はがした時にボロボロになったみたい。 石膏が接着剤を吸いこんでしまったせいだと思います。 あ〜あ。

根性で仕上げました。 密着の悪かったティッシュの隙間には、瞬着を流し込み固めて、 表面も同じように固めて、削って磨いて、サフ吹きました。 このカウルには、プラ用接着剤2ビン、瞬着は6本位 、 吸いこませてます。 ふう〜。
ちなみに、シリコン型の部分はきれいに出来ていますので、 この手法をやる方は、シリコンで型を作るのをお勧めします。 って、やる人はいないと思うけど。 今回は、安くあげたいのと、大きな型の強度を確保したかったので、石膏を使いました。

これで、だいたい部品はそろったかな?

ちょびっと組んだらこんな感じ。

色を塗ってみると。 シャシーは、アルマイトがかかってるので、 シルバーの上からクリアオレンジを吹いてみました。

根性で仕上げたカウルも、やっと塗装です。 色が付くと、ちょっと見栄えが良くなりますね。 (特に、ボクの場合、写真だと…)


組み立てにかかっていますが、あっちこっち合わない。 特に、タイヤ回りは見えない所を削ったり、強引に瞬間接着剤で止めたり… だから、写真には写らないようにっと。 まずは、形にしなければ!

完成!! なんとか、形になりました。 良かった、良かった。


予想通り、カウルのフィッティングはうまくいきませんでしたが、 まあ、良しということで。 ここまでこぎつけて、満足満足。


後ろ姿も、なかなか迫力があります。 パッセンジャーが身を乗り出してる姿が目に浮かぶようです。

毎回そうですが、モデラーGPがなければ、こんな大作にチャレンジする事も無いだろうし、 完成させる事も出来なかったかもしれません。
毎回、毎回、感謝です。
反省点も満載ですが、今のマイベストという事で。
それでは皆さん、モテギでお会いしましょう!!